梅雨のじっとりした気候が続く中
皆様いかがお過ごしでしょうか
自粛ムードが続く中
先日公開された
「その手に触れるまで」
という映画を観て参りました。
監督: ジャン=ピエール・ダルデンヌ
リュック・ダルデンヌ
この映画は、ダルデンヌ兄弟のベルギーのドラマ映画です。
愛知県では伏見ミリオン座でしか上映をしていないとのこと
この映画のあらすじを簡単に説明すると
ベルギーに暮らすゲーム好きな普通の少年が、
イスラム教に夢中になっていき、
次第に過激な思考にのめり込んでいく。
そしてあるきっかけから、
恩人である先生を殺さねばならないという過激思想に取り憑かれていく、
そんな若き狂信者の危険な暴走と、
思春期の少年の心情を描いたストーリーです。
ここ最近は映画館ではなく
お家で旧作を見ることが多かったため
久しぶりの映画館ということで
予告編しか見ていない状態でワクワクしながら見に行きました。
映画は、教師を殺害することを企てる少年を中心に展開していきます。
とにかく
テーマが重い
この映画の予告編を観ると、
少年がイスラム原理主義に感化されるという、
社会的な要素が強いかと思っていたのですが
この映画はどちらかと言うと、少年の心理を探るような描き方が強くとても面白い。
観た人によって感じ方が分かれそうで、興味深い内容でした。
そして、予想もできなかったラストシーン。
「え、これで終わり?」と同時に何とも重い気分に。
そして『なるほど』と邦題に納得します。
撮り方のスタイルとしては
ダルデンヌ兄弟特有のワンカットの長さ
いわゆる「長回し」という手法が使われていて
登場人物たちの会話の一連がひとまとまりになっており
切れ目なく描くことで
反応や絶妙な間がスリリングになっていました。
ダルデンヌ兄弟の映画は「長回し」を使うことが多いため
ドキュメンタリータッチな生々しさが魅力の一つなのですが
ただパッと撮ってできた作品ではなく
何度も何度も組み直され
計算され尽くしたからこそ見られる
生々しさなんじゃないかなと感じます。
またこの監督作品の特徴として
BGMがほとんどなく
作中で流れる音は生活音のみのため
画面の外から関係なく流れる音楽がないシンプルな作りで、
日常のシーンのリアルな日常感と緊迫したシーンでの少年の息遣いの抑揚がとてもスリリングでサスペンスとしても成立している。
育児放棄された男の子のさすらいのドラマ『少年と自転車』、
突然の解雇通達を覆すため同僚の家を回る女の焦燥を描いた『サンドラの週末』。
社会の片隅では今どんなことが起きているのか、がテーマに描かれることが多く今回も
ダルデンヌ兄弟は常に弱者の味方だと感じさせてくれました。
一日中何もせずに過ごす休日よりも「何かをしてみる」ということが自分の幸福度につながって好きです。
気になる方は是非ご覧ください。
映画の好みに偏りがあるので、映画が好きなお客様がいたら色々教えていただきたいです。
Tezuka aya